副業禁止の会社は時代遅れ?働き方改革でワークスタイルは変わるのか

「副業解禁」というキーワードを彼方此方で聞くようになり、大企業を中心にそのような動きが広まっている。

この動きは働き方改革によるものだが、副業は将来的に世の中にどのくらい浸透してくるのだろうか。

そして日本のサラリーマンのワークスタイルに変化は起こるのだろうか。

先日父親と話す機会があり、私はこんな質問をした。

筆者筆者

働き方改革が進んでるね、そういえば(父の会社は)副業ってOKなの?休みの日が暇ならやったらどう?

父親は某大手住宅会社に勤めており、役員として働いている。すると父は間髪を入れずにこう答えた。

父

できるわけないじゃん、副業禁止だもの

父の勤める会社は日本でよく知られている住宅会社なのだが、副業は完全に禁止みたいだ。

やはり副業解禁の流れはごく一部のグローバル企業だけなのか・・?

そう思った私はその流れですぐに友人にもメッセージを送ってみた。

筆者筆者

(ブログネタで)一つ聞きたいことがあって突然質問するんだけど、◯◯君の会社って副業OKなの?

その友人は大手自動車メーカーに勤務している。ブログネタだと知っている友人はすぐに返事をくれた。

友人友人

副業ダメだよ

大手自動車メーカーも副業は禁止らしい。

また友人同士の集まりに行くこともあるが、副業解禁の話など一切なく、むしろ副業関連の話にはアレルギーを示す人が多い。

私の小さな範囲でしかないが、働き方改革によって副業解禁や副業に対する意識付けを行う企業は限りなく少ないと感じた。

日本の会社、副業禁止が7割

友人の会社の話で「副業OKだ」という話を聞いたことがない。

それもそのはずだ。2018年10月に行ったリクルートキャリアの調査によると、兼業、副業を容認している企業は全体の約28.8%、副業を禁止としている企業は全体の約71.2%だという。おまけに中堅、大企業に至っては8割が副業を禁止している。

データを見る限り、働き方改革によって副業解禁はそこまで浸透していないように感じる。そりゃ友人達の会話の中に「副業」というキーワードは挙がってこないはずだ。

私の勝手なイメージだが、副業を解禁している会社は一部のIT企業、ベンチャー企業ぐらいのものだろう。それと柔軟な精神を持っている会社ぐらいだろうか。

政府が副業解禁する本当の理由とは

政府が副業を解禁する本当の理由をご存知だろうか。

表向きには社員のスキルアップや時間の有効活用、働き方の多様化、従業員の満足度を上げる、といったことが語られています。確かにこれは間違いではない。

しかし政府が副業解禁に動いた最大の理由は「人手不足」が背景にある。

日本の未来において少子化による人口減少、そして労働人口の減少はある程度予測がつく。人口動態統計では10年後までに労働人口が500万人減少することも分かっている。労働人口が減るということは、企業は人手不足に悩まされるわけだ。

ダブルワークを国を挙げて解禁すれば、必要なところに人手が回るようになるので労働人口を補填することができるのだ。

副業からキャリアアップ、そして経済成長へ

また優秀な人材が他社で働くことでイノベーションが生まれ、社員一人一人のスキルアップにもつながる。そのことがキャリアアップに繋がり、起業する人も増える。

国としては多様な働き方を推奨することで日本の優秀な人材の成長、会社の発展、そして経済成長が期待できる。

綺麗事かもしれないが、会社や個人双方にメリットがあるのは言うまでもない。

年金・終身雇用制度の崩壊

副業解禁に踏み切ったもう一つの理由、それは年金制度や終身雇用の崩壊が背景にある。

定年退職年齢と年金受給開始年齢がどんどん引き上げられ、最終的には定年も年金も完全に無くなるのではないかと囁かれている。

国としては「将来は何も保証できませんよ」というメッセージなのか、はたまた「近い将来、国は年金も払えないので今のうちに副業してお金ためとけよ」というメッセージなのか。

世界はものすごいスピードで変化している中、日本的経営による終身雇用を前提とした働き方は難しくなる。

どのように推測するかは各々に任せるが「自分の将来を保証する物は何もない」ということは確かである。

副業社会の到来?それでも日本の企業は変わらない

では近い将来、副業を持つ社員が日本全国で増えるのだろうか。

私は増えないし、そこまで大きく変わらないと思う。

現状、7割以上の会社が副業を禁止しており、副業を認める会社が増えるとは到底思えない。

仮に副業OKになっても、会社には暗黙の了解が働く。

会社が副業解禁に踏み切ったとしても、現場がそれを許すのかは別の話。

「副業なんてしてたら業務がおろそかになるからやめろ」「本業で成果の上がらないやつが副業なんてやるな」「自分の上司が副業に賛成しないからできない」「副業とかお前は金の亡者かよ」

そういった空気が現場に流れる。

社員全員が足並みを揃えるという謎の同調性が働き、副業したくてもできない社員が出てくるはずだ。

何十人何百人の社員の中で、一人が外れた行動を取ると「あいつは(副業なんかして)何をしてるんだ?」という空気が現場に流れる。

本業の部署やプロジェクトから外れるリスクさえある。

同調性を重んじる日本人独特の思考が同調圧力を生む。

そして社員は自分らしさを失っていく。

日本的雇用は崩壊する

副業解禁を打ち出した政府の意向から見ると、将来的に日本的経営による恩恵を受けることが困難になると予想できる。

「年金やあるからマイホームを建てて・・」「定年は65歳だから・・」「今の会社でこのまま定年まで・・」

このような未来は完全に崩壊している。

会社や法律、国が守ってくれるという前提で人生設定することは極めて危険である。