PayPayやZOZO前澤社長から学ぶ未来の広告・マーケティング戦略

年末から年始にかけて何やらお金の動きが騒がしい。

2018年12月に実施されたPayPayによる100億円あげちゃうキャンペーン、そして今年2019年頭にはZOZOTOWNの前澤社長による1億円バラマキ企画。

一般論としては「そんなにお金をばらまいて何の意味があるの?」とか「社員へ還元しろ」という声が多数寄せられている。

しかし仕掛ける側の目線で考えると、非常に現代的で賢い戦略だということが分かる。

これは未来のマーケティングが変わるきっかけになるかもしれない。

PayPayが起こした100億円のインパクト

キャッシュレス決済の中では後発だったPayPayが、ユーザーへ還元する形で100億円キャンペーンを実施しスタートダッシュを切った。

PyaPayで支払うと20%還元、40回に1回は全額還元といった話題性もあり、キャンペーン開始直後からTwitter等で瞬く間に広がっていった。

その後、ニュースサイトやテレビでも度々取り上げられ、スマホ決済に関心がない人もPayPayを知るきっかけとなった。

20%還元の恩恵を受けたのは一部のイノベーターやアーリーアダプターだったが、市場ではビックカメラで爆買いが起こったり、PayPayの加盟店になろうという動機づけになったりと、今回のPRは100億円以上の価値があったと言える。

ZOZO前澤社長が起こしたインパクト

ゾゾタウンの前澤友作社長は、年始にお年玉として1人100万円を100人に、総額1億円をTwitterを使ってばらまいてみせた。

対象は前澤氏のTwitterのフォローと該当のツイートをリツイートするだけ。ユーザーにとっては夢のような企画であり、瞬く間に拡散された。

1億円企画前の前澤氏のフォロワー数は約50万だったが、数日で600万フォロワーを超え日本人トップ3までランクイン。RT数は世界一になった。さらにネットニュースやテレビメディアでも取り上げられ、ZOZOTOWNの名と前澤社長の名が日本中を駆け巡った。

企画後こそフォロワーは減ったものの、その影響力と宣伝効果は1億円を優に超えている。株価も上昇し、個人資産も何百億増えたと思われる。またTwitterではアクティブなフォロワーを1フォロワーあたり約30円程度で獲得している計算になる。

メディア広告の時代は終わりか?

今回の2つの出来事は、未来のマーケティングのあり方を大きく揺るがすものになると考えている。

広告費をテレビCMやメディアに出すのではなく、ユーザーへ還元する形で支払う、そんな未来がやってくる可能性を示している。

若者のテレビ離れが進む中、テレビによる一方的なプッシュ広告が通用しなくなるのはある程度想像がつく。

今の時代、スマホがあるおかげで情報を簡単に集められるようになった。自分の好きな情報だけを見て不必要な情報は見ない。情報が溢れかえっているため、我々は必然的に情報を選別する。そのためテレビ等の一方的なプッシュメディアは迷惑な存在になっているのだ。

若者がテレビを見ない理由はまさにこのことである。

ユーザーへ直接還元したほうがコスパが良い

SNSの普及によって商品やサービスの口コミが急速に広がるようになった。ソーシャルメディアで注目が集まればニュースサイトやテレビメディアでも取り上げられる。この相乗効果は計り知れない。

一方的な配信によるテレビCMに多額の広告費を支払うよりも、どんな形であれSNSで話題をかっさらうほうが圧倒的に早いしコスパは良いに決まっている。

今回はPayPayと前澤社長がこれを大規模に実践したわけだ。

今後どのような展開を見せるのか期待

PayPayも前澤社長も、今後どのような展開をしていくのか気になるところ。

PayPayは大規模な企画を終えたところだが、100億円祭りが再び始まるのではないかと期待されている。キャッシュレス決済の後発組でありながら、覇権を握れるのかどうか期待したいところだ。

またゾゾタウンの認知度と個人としての認知度も高めている前澤社長だが、今年も何かと話題を作ってくれそうだ。プロ野球参入を示唆したり、月旅行を計画したり。次は何をしてくれるのか、我々一般人には想像ができない。